石川拓治著、NHK「プロフェショナル 仕事の流儀」制作班監修、幻冬舎出版の「奇跡のリンゴ」を読んでみた。この本は2006年12月7日に放送されたNHKのテレビ番組「プロフェッショナル 仕事の流儀」が元になって出版されることになったのだそうだ。この番組が放送されると全国からメールや手紙が舞い込んだそうでNHKの担当者は嬉しい悲鳴をあげたことだろう。私も一度は木村のリンゴを食べてみたいという希望を持っているが、これだけは縁がないと難しいであろう。
石川拓治の文章力にもよるのだがこの本はとても面白くて一気呵成に読んでしまった。ところどころ涙を流しながら読んだ。内容は木村秋則という青森県のリンゴ農家の子供時代から現在までのエピソードを綴ったものだ。無農薬でリンゴを栽培すると決めた木村の頑固さもさることながら、その頑固さに付き合いながら長年貧困に耐えぬいた家族の我慢強さに頭が下がる。最後には無農薬どころか無肥料のリンゴを栽培することに成功してしまったのである。木村の情熱にはしっかりと感動しながらも一歩間違えば家族もろとも奈落の底に落ちかねない生き方にちょっと不安を感じた。一見平凡に見えるマイホーム・パパというのも家族にとってはありがたい存在なのかも知れないと思った。
本屋で偶然に故福岡正信の自然農法の本と出会ったことにより木村のその後の人生がすっかり変わってしまった。私も10年程前に福岡正信とネットサーフィング中に偶然に出会って「わら一本の革命」を読み、深い感銘を受けたことがあるだけにやっぱりねと思った。福岡正信が書いた数冊の本の内の一冊は「THE ONE-STRAW REVOLUTION」というタイトルで英語にも翻訳されている。聞く所によると、英語版は日本語版よりもさらに面白いそうだ。私が今食べている無農薬、無化学肥料で栽培されたカリフォルニア米の農家もおそらく福岡正信の影響を強く受けていることだろう。
いささか福岡正信の説明が長くなってしまったが、木村も日本だけではなく海外でも講演をしているようなので、長生きをすればさらに世界的に有名になるだろう。未来の農業はこういう方向に進んで欲しいと切に願っている。(敬称略)