数を作れば、1/10000の確率で、良いものも混じっている。1万個のアイデアを出し、そのうちの1番良いアイデアに集中するのがプロ。アマチュアは常識にしばられないので、良いアイデアを持っていることがあるが、1個のアイデアに満足してしまい先に進めない。
日本人のもうひとつの能力として、左側の想像力という力があります。ものを作るのはクリエイションの方の創造力ですけれども、この左側のイマジネーション の想像力というのは日本人が優れているからこそ、マーケティング理論が世界で一番発達して、実際にいろんなマーケットリサーチをする会社もたくさんありますし、非常に技術的に発達しています。でも、だからこそ人の気持ちは分かるけれど、自分の気持ちが一番分かっていないのが日本人です。自分が本当に何が欲しいのか、自分の会社が何を作るべきかが一番分かっていないのが典型的な日本の企業であり、日本人なんです。
アマチュアというのは実はすばらしいアイディアを持っていて、それでプロよりも非常にいい思いつきをするんですね。プロというのはものを知っているだけに、 実は一番保守的です。長年同じことをやっているプロというのは、実はアマチュアよりもインスピレーションという意味でははるかにレベルは低いです。ところがなぜプロがプロたる仕事ができるのかというと、アマチュアはたった1枚の企画書、1枚の絵、たった1個のアイディアに満足して先に進まない。プロは最初はろくでもないアイディアが出てきて、なかなか会議でもアイディアが出ない。だけどもそれを100回続けて、100個の中から1個を選ん で、そういっ た人間が予算を取って100人集めて、合計1万個の中から1個のアイディアを出すから、いいものが出るのが決まっているというシステムを作るから、プロはプロたり得るのだと信じます。プロというのはシステムで仕事をする人間である。
これは、得意技(戦闘教義)の作り方にも通じます。
たった1つの長所を確実に使えるように、補給を整え、訓練する。
【再掲】やさしい「戦闘教義」講座 2 戦闘教義の設計 - 想月
まったく新しい戦闘教義を開発し導入しようとするのは画期的なことです。そのためには十分な準備期間と訓練期間が必要になります。長篠合戦で武田騎馬隊を破った織田鉄砲隊は、その時の思いつきで出来たわけではありません。鉄砲を用いた戦闘教義を確立しようと思えば、まずは鉄砲という最新兵器をまとまった数確保しなければなりません。相当量の火薬も必要です。火薬の原料となる硝石はすべて輸入でしたから港町と商人を押さえなければなりません。言うことを聞かせる だけの権力、購入するだけの財力も必要です。そうして準備をして、最新兵器に習熟するよう兵を教育し、組織として機能できるように訓練しなくてはなりませ ん。画期的な戦闘教義は技術革新(イノベーション)が契機になることが多いですが、それを戦闘教義にまで昇華させるには綿密な計画と準備が必要なのです。
全てをナンバーワンにするのは不可能です。それより選択と集中をした方が良い。
ただし、戦闘教義の限界もあります。
1つ目。武田の騎馬隊が織田の鉄砲隊に敗れたように、戦闘教義の世代交代があります。ウオークマンがiPodに変わったのもそうです。戦闘教義が陳腐化しないように、新技術の情報を集めて、場合によれば自己否定までする必要があります。
2つ目。武田の騎馬隊が敗れたので、織田の鉄砲隊を他の戦国大名は真似しました。模倣によるコモディティ化で、長所が少なくなったといえます。それでも織田の場合は、火薬の原料の硝石の輸入ルートの港町と商人、つまり兵站を押さえていたので、他の戦国大名より有利でした。iPodの場合は、iTunesの販路を持っているということで、やはり兵站を押さえてます。
ハードウェアだけでなく、全体像を考えるということになります。
松浦彰夫













