「三方よし」という理念
「三方よし」とは、「売り手よし、買い手よし、世間よし」というもので、近江商人の家訓として伝わっていたものです。
売り手、買い手、世間の3者がそれぞれの利益をあげ、Win-Win-Winの関係を築くことで、経済の長期的な発展が成りたつ。自分の利益だけを追求したら、信用を失い失敗する。すばらしい理念だと思います。
「三方よし」でない経済
経済の目標として三方よしを設定するとしたら、三方よしでない社会を三方よしの経済に変えていくことになります。三方よしでない経済とは、どういうものになるでしょうか。
よいものがあれば悪いものもあります。経済において利益が有るのが善し(よし)、利益が無いのが悪し(あし)とします。
| 売り手 | 買い手 | 世間 | |
|---|---|---|---|
| 1 | ○善し | ○善し | ○善し |
| 2 | ○善し | ○善し | ×悪し |
| 3 | ○善し | ×悪し | ○善し |
| 4 | ○善し | ×悪し | ×悪し |
| 5 | ×悪し | ○善し | ○善し |
| 6 | ×悪し | ○善し | ×悪し |
| 7 | ×悪し | ×悪し | ○善し |
| 8 | ×悪し | ×悪し | ×悪し |
主体が3つあって、それぞれの状態が2つなので、組み合わせは8つになります。
1)三方よしの状態です。
2)生産者と消費者に利益があるが、世間が不利益。公害を出したり、麻薬を販売したりなどの反社会的な商活動をしている状態です。
3)生産者と世間に利益があるが、消費者が不利益。欲しくないものや、必要ないものを無理やり買わされている状態です。植民地の人が過去に必要でなかったものを買わされるのがこの状態でしょうか。宣伝などで煽られて、買い物依存症になるのもこの状態です。消費者の借金が増えていき、自己破産になるでしょう。
4)生産者に利益があるが、消費者と世間が不利益。低品質のものを売られて、リコールが起こる状態です。詐欺で無価値なものを売りつけられるのも、この状態です。
5)消費者と世間に利益があるが、生産者が不利益。製品の売値が下がって仕方なく赤字で販売するのがこの状態にあたるでしょうか。
6)消費者に利益があるが、生産者と世間が不利益。客なら何をしても許されると考えるモンスター化した消費者がこの状態にあたります。
7)世間に利益があるが、生産者と消費者が不利益。チェルノブイリのように人が居なくなって自然環境が回復するとか、戦争で物や人命を浪費してデフレ不況回復、という状態にあたります。
8)利益をあげる主体が居ない。商活動が成り立たない状態です。内戦が起こり無法地帯になればこうなるでしょうか。
「三方よし」への道
こうして書き出してみると、三方よしでない経済のパターンは多いです。
特に2の公害や反社会的商活動の場合、隠蔽されていますし儲かりますから、長続きして被害が拡大しますので、問題が根深いです。2の対策としては、まず隠蔽対策です。世間に対する悪事をしないか監視し、悪事をした場合は情報公開します。次に儲からなくする。不買運動を起こすなどして兵糧攻めにします。しかし、兵糧攻めが効きにくい悪事があります。政府と結託している悪事というのがあり、政府から資金が供給されますのでしぶといです。この場合は、情報公開をしぶとく続けて、持久戦で政治を変えていくことになります。
2以外も対策の基本は同じになります。情報公開で誰が不利益を被っているのかを明らかにして、兵糧攻めをするのが、効率の良い方法だと思います。
一番良いのは、生産者、消費者、世間、それぞれの当事者が、悪事をしないように気をつけることです。独占状態になるのも良くありません。適当なライバルがいることで腐敗や横暴な行為を防げます。悪事を行なえば、そのライバルに市場を奪われますので、抑止力になります。
「三方よし」が実現すれば信頼に満ちた社会になりますが、それでも油断は禁物です。安定に慣れてしまい、社会の発展が停滞することもあります。失敗は成功の元と言いますが、成功は失敗の元になることがあります。ある時点での優位点が、状況が変わった場合の弱点になる場合もあります。
永遠に完成しない目標を、永遠に追いかける。案外それが人間の幸福なのかもしれません。「遠足は前の日の晩が一番楽しい」ということがありませんか?目標は計画段階が一番楽しいものです。つまり、永遠に計画を立てていれば、永遠に楽しいのです。
松浦彰夫 拝













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